レラティブ・ストレングス戦略の検証

前回の投稿から少し日が空いてしまいました。

出来るだけ週1回は更新しようと思っていますが、まあ、こんなこともあります(笑。

前の記事で「レラティブ・ストレングス投資」について少し触れました。

実は、これの検証をやっていたのも、投稿が遅れた理由の一つです。

ちょっと面白い検証結果が得られたので、書いてみますね。

あ、以下の記事ではレラティブ・ストレングスについて細かく解説はしていないので、前回の記事を読んでいただくか、市原ブログさんのサイトを見てください。

検証1:バイ&ホールド vs レラティブ・ストレングス

レラティブ・ストレングス戦略とよく比較されるバイ&ホールド戦略(買ったら保有しっぱなし)。

すでに他のブログでもさんざん検証されていますが、自分でもちゃんと確認しておきたかったので、おさらいも兼ねて計算してみました。

条件は以下の通り。

投資期間: 2008年5月~2017年5月
投資金額: 100万円
投資対象: 国内・先進国・新興国の株式・債券と国内REIT・先進国REITの8つ。
      参照した指数は以下の通り。
     (債券は運用期間の長いインデックスファンドで代用)
 国内株式: TOPIX(配当込み)
 先進国株式: MSCI KOKUSAI Index(円換算)
 新興国株式: MSCI Emergency Market(円換算)
 日本債券: 三井住友・日本債券インデックス・ファンド
 先進国債券: 三井住友・DC外国債券インデックス
 新興国債券: SMT新興国債券インデックス・オープン
 国内REIT: 東証J-REIT指数(配当込み)
 先進国REIT: S&P 先進国REIT指数
備考: 売却時に運用益が出た場合は20%の所得税がかかったものとして、
    運用益から差し引く
備考2: 売買手数料は、ノーロード投信を使うと想定して計算に含めない
備考3: 新興国債券は参照データの都合で、2010年1月から投資を開始したものとして計算

検証期間が中途半端だったり指数とファンドが混ざっていたりするのは、私がデータを集めきれなかったためなので、深い意味はありません。

いちおうリーマンショック前後の期間を含められたので、とりあえず良しとします。

細かい説明は置いといて、まずはグラフから。

B&Hはバイ&ホールド、RS1がレラティブ・ストレングスでの投資成果です。

B&Hは最初に7資産に均等に配分し、2010年1月に新興国債券を加えてリバランスした以外は売買を行わずに放置しました。

RS1は市原ブログさんで紹介された方法(3-6-12ヶ月リターンと12ヶ月移動平均を使い、上位2銘柄に均等配分)をそのまま実行しています。

レラティブ・ストレングスは、2008年9月ころからの暴落相場を見事に回避していることが改めて確認できます。

ただ一方で、1~3年に1度程度の相場の急落をモロに食らってもいて、全体的に値動きが激しくなっています。

それに比べるとバイ&ホールドは全体的に値動きがマイルドですね。

レラティブ・ストレングスはリターンを得るためにリスクを取る戦略なので、ある程度しょうがないところではあります。

それは実際の数値にも現れています。

RS1はB&Hの2倍のリスクとなっています。

しかし最大ドローダウンは9ポイント以上低くなっており、シャープレシオも0.07ポイント向上しています。

リスクは負うものの、(少なくともこの期間は)効率的にリターンを積み増していると言えそうです。

検証2:単純移動平均 vs 指数平滑移動平均

バイ&ホールドと比べてレラティブ・ストレングスは一見優位そうではあります。

ただ、バイ&ホールドではさほど下落していないタイミングで大きくグラフが落ち込んでいる(2012年5月や2015年8~9月)ことがあり、細かいトレンドの変化を追いきれていないように見えます。

今回検証した期間(2008年5月~2017年5月)ではたまたまそれ以上のリターンを得ることができていますが、やはり下落リスクはできるだけ抑えたいもの。

今後も同じような相場展開が繰り返されるとは限りませんからね。

で、考えたのは「指数平滑移動平均」を使うという方法です。

指数移動平均(英: Exponential Moving Average; EMA) では、指数関数的に重みを減少
させる。指数加重移動平均 (英: Exponentially Weighted Moving Average; EWMA)、
指数平滑移動平均 (英: Exponentially Smoothed Moving Average) とも呼ばれる。
重みは指数関数的に減少するので、最近のデータを重視するとともに古いデータを完全には
切り捨てない(重みは完全にゼロにはならない)。

(Wikipediaより)

株価やFXのテクニカル分析では、単純移動平均より指数平滑移動平均のほうが有用な(ことが多い)のだそうです。

レラティブ・ストレングスでやっているトレンドの判定も言ってみればテクニカル分析の1つなので、この指数平滑移動平均が使えるのではないか?と思って試してみました。

さっそく結果を比較してみましょう。

RS1(緑の線)がオリジナルのレラティブ・ストレングス。

RS2(紫の線)がSELL/BUYシグナルの判定に指数平滑移動平均を使用した改変版RSです。

劇的な差はありませんが、RS2のほうが全体的に少し上振れしています。

期待した通り、トレンドの切り替わりを一瞬早く検知することに成功しているようです。

特に2016年1月にガツッと下がっているところ、RS1ではひと月で17.6%もの下落をしていますがRS2では9.4%の下落で抑えられています。

数値上も、最大ドローダウンが低下しリターンは向上しています。

おかげでシャープレシオがさらに改善されていますね。

思いつきで試したにしてはまずまずの結果です。

検証3:さらなるテクニカル分析へ……

これを読んでいるパッシブ投資家の方からすると、すでに少し不穏な空気を感じているかもしれませんが……(笑)、検証2の結果に気を良くして「テクニカル分析の手法をもっと取り入れたら、さらに改善できるのではないか?」とか、欲をかき始めてしまいました。

こういう計算をコツコツやるの、好きなんですよね~(根っからの理系体質)。

まあ、実際にやるかはともかくとして、実験的に検証するのも面白いかなーと。

とは言え、勘や経験で判断するわけではありません。

ちゃんと計算に基づいた、客観性・再現性のある方法を使います。

計算過程は少し複雑になってしまうので、先に結果をお見せします。ジャジャン!!

RS3(青の線)がテクニカル分析の手法を導入した改良版レラティブ・ストレングス投資の成果です。

ほぼすべての期間に渡って、オリジナルRS・指数平滑移動平均版RSを上回る結果を出しています!

リターン・リスクもこの通り。

オリジナル版より年率リターンが1.3ポイントも向上し、最大ドローダウンも4.7ポイント改善しました。

さて、このRS3の具体的な運用方法ですが……ちょっと長くなってしまったので、詳しい説明は次回で。

お楽しみに~!

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